漢字の書き順をしっかりモノにできる、下村式の『漢字練習ノート』。漢字の意味も深く理解できる良書!

『下村式 となえて書く漢字ドリル 漢字練習ノート』と『下村式 漢字の本』




漢字を覚えるには、ある程度は手で書く練習を反復して、体で覚えるしかなく、身につけるまで中々大変なものですよね。

しかし、手だけではなく、音読のように口も使って漢字練習ができると、もう少し学習効率が上がる気がします。

ということで、やや強引な展開ですが、手と口を使って漢字を練習する、

  • 『下村式 となえて書く漢字ドリル 漢字練習ノート』
  • 『下村式 となえておぼえる 漢字の本』

の紹介です。

古くからの歴史ある教材で、見た目は地味ですが内容は素晴らしいものです。

漢字の書き順、意味、読み書きをバランス良く学べる良書だと思います。

本書の特長

先述の通り、漢字の書き順、意味、読み書きをバランス良く学べることが本書の素晴らしいところです。

口唱法で書き順を完璧に

「口唱法」のおもな唱え方  『下村式 となえて書く漢字ドリル 漢字練習ノート』

「口唱法」のおもな唱え方  『下村式 となえて書く漢字ドリル 漢字練習ノート』

漢字練習ノートの表紙に「下村式 となえて書く漢字ドリル」とあるように、書き順を唱えて漢字を学習する、というのが本書の大きな特長です。

下村式独自の「口唱法」によって、書き順を唱えながら練習することで書き順を覚えられるようになっています。

個人的には当初、

「そこまでしなくても、普通にドリルに書いて練習すればええやん」

と思っていたのですが、例えば中学受験などの重要な局面で、書き順を問われることを想定するなら、話は別ですよね。

書き順を完璧に習得するためには有効な手段の一つと言えるでしょう。

要は「年号の語呂合わせと同じようなもの」と言えばしっくりくるのではないでしょうか。

まあ、「年号の暗記って意味なくね?」のようなことが言われている昨今、

今後、正確な年号を要求されるような出題は減っていくのかもしれませんが

絶対に落とせないなら、どんな手段を使っても覚えるしかありません。

機械的に覚えることが多い書き順の世界にとっては、口唱法は大変ありがたい方法です。

漢字の成り立ちから意味を理解する

『下村式 となえて書く漢字ドリル 漢字練習ノート』の練習ページ

『下村式 となえて書く漢字ドリル 漢字練習ノート』の練習ページ

漢字を覚えるためには、ある程度の反復練習をこなさなければなりません。

ですが、漢字が苦手な子どもは、反復練習と言っても、漢字の意味を全く意識せずにとにかく書くだけ、ということが多いようです。

体で覚えると言っても、本当に全く意味もわからず手を動かすだけでは、学習効率が悪いであろうことは、直感的にも分かりますよね。

本書では、漢字の意味を理解しやすくするために、その成り立ちを絵で説明してくれています。

「漢字は、もともと絵からできたものです。」

と著者の言葉にもありますが、漢字を絵に戻して成り立ちを説明することで、以下のようなメリットが得られます。

漢字を絵にして成り立ちを学ぶメリット
  • 絵は見やすく、子どもの興味関心が高まる
  • 漢字の仕組みに納得して意味を理解できる

このように、「漢字練習ノート」は、漢字の意味を深く理解して練習ができるように構成されています。

良くできた例文で読み書きを習得

漢字の読み書きを学ぶための例文が良くできていて、読み1問、書き2問の穴埋め問題が、つながった一つの話になっています。

読み1問に書き2問だから、合わせて3つの文章で出題。というのがよくある出題ですが、そうなってはいません。

3つの文章を読むために頭を切り替えることなく、1つの文章を読むことで3問がこなせるため、自然と漢字の生きた使い方を覚えやすくなっています。

なんだそれだけか、と一見思いがちですが、同じ漢字の穴埋めを3回、1つの文章で表現するのは簡単ではないと思います。

そしてその文章の作り方と、漢字の使い方に感心してしまい、大人の僕も読んでいて意外と面白いです。

大人と子どもの感性は違いますが、きっと子どもも読んで面白く、印象に残りやすい文章なのだと思います。

漢字の本と合わせて使える

『下村式 となえて書く漢字ドリル 漢字練習ノート』と『漢字の本』

『下村式 となえて書く漢字ドリル 漢字練習ノート』と『漢字の本』

『下村式 漢字練習ノート』は、『下村式 漢字の本』を基に作られていますので、漢字の本を参考にしながら、漢字練習ノートで学習を進めることができます。

合わせて使うことでより高い学習効果が期待できます。

漢字の成り立ちの理解

例えば、『漢字練習ノート 小学3年生』で最初に練習する漢字である「幸」。

「幸」という漢字のなりたちを見てみると、

漢字練習ノートの「幸」の成り立ち説明
  • 「首がまがって、若死にする形。」
  • 「とちゅうで止められた形で、「さからう」のいみ。」

と書かれてあります。

「若死ににさからう?死なないから幸せってことかな?」となんとなく想像はつきますが、成り立ちをより深く知るために、『漢字の本』が役立ちます。

『漢字練習ノート』と『漢字の本』は、漢字の登場順も同じです。

『下村式 漢字の本』の「幸」のページ

『下村式 漢字の本』の「幸」のページ

最初に登場する「幸」のページを見てみると、漢字練習ノートよりも少し、成り立ちについての詳しい説明があります。

下村式 漢字の本「幸」の成り立ちの詳しい説明

「若死にするはずが、死をまぬがれるということから、<しあわせ・さいわい>のいみをあらわす。」

このように書かれていて、より正確に漢字の成り立ちを理解することができます。

見た目の雰囲気が古い

このように大変素晴らしい内容の「漢字練習ノート」ですが、短所があるとすれば、見た目の雰囲気が古く、地味なことです。

そもそも古くから歴史のある漢字教材ですから、見た目が古いのは当たり前。

それは仕方がないことなのですが、子どもによっては、見た目が原因で面白くないと感じることもあると思います。

例えば進研ゼミのチャレンジのような雰囲気が大好きで、その派手さでモチベーションが上がるタイプのお子さんには、本書は不向きかもしれません。

内容が良くても、そもそも使ってくれないと意味が無いですものね。

安価で良質な漢字学習を

漢字の書き順と意味をしっかり理解して学べる『漢字練習ノート』。

これだけの内容で、価格は540円とかなり安いです。

対して『漢字の本』は750円ほどと、少し高く感じますが、本のボリュームから考えるとこれも安いと思います。

興味があれば『漢字の本』の購入は有りですが、正直無くても、『漢字練習ノート』だけで充分良質な漢字学習ができます。

見た目は地味ですが、そこでやる気を無くさないお子さんには大変おすすめです!

ABOUTこの記事をかいた人

1976年生まれの関西育ちで首都圏在住。私立文系(関関同立)を卒業しました。 2児(長女・次女)の父です。妻と子ども2人の4人家族。 子どもに算数を教えることに苦戦することが多いですが、 自分も勉強しながら、日々子どもと一緒にがんばります。